北アルプスの山々をメインにパノラマ写真で紹介するとともにパノラマ写真の撮影・作成方法なども紹介しています。

2014/09/28 赤石岳→聖平小屋

9月28日(3日目) 快晴

朝3時に3人グループが起きて活動を始めた音で目覚めた。赤石避難小屋に宿泊したのは赤石岳山頂からの日の出と富士山を見たかったからなのだが、前日千枚岳で感動的な日の出を見たし、この日は聖平小屋までの長丁場なので早出しようと3時半に起きて朝食の準備を始めた。そこへ小屋番さんが起きてきた。自炊場の4人を見て機嫌が悪そうだが、ストーブに火を入れてくれた。山頂からの日の出も見ないで勿体ない奴らだと思ってくれているのだろう。

5時に避難小屋を出て山頂に寄って出発した。全く計画外の二日続きで夜明け前のヘッデン歩行となった。
5時30分、日の出を迎えて明るくなるはずが、赤石岳の陰で大斜面下降の登山道はなかなか明るくならない。この時点ではまだ今日のルートを特定できていなかった。大斜面を下り終えて百間平まで御嶽山の噴火の影響と思われる硫黄臭がした。途中百間洞宿泊の3人の登山者とすれ違った。彼らも硫黄の臭いに気付いていたが、御嶽山の噴火は知らなかった。

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日の出のころ、赤石岳大斜面の下りにて聖岳から大沢岳、百間平のパノラマ

 

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百間平から百間洞に下り始めて目の前の尾根筋の登山道を見てこの日の登山ルートがわかった。当初のイメージは「赤石岳から百間洞まで下って大沢岳へ登り返して小さなアップダウンで兎岳などを通過して聖岳に登り聖平まで下る」であったが、そのアップダウンを目の当たりにしてあ然とした。 一旦下って登り返すのも大変だが、大沢岳から兎岳へのアップダウンも半端でないと覚悟した。

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百間洞へ下り始める付近で右の大沢岳から中盛丸山、兎岳、聖岳への稜線

コルまで下って大沢岳と百間洞山の家の分岐でザックをデポしてトイレのため山の家へ向かった。途中棚田のように整備されているテント場を通り沢沿いに建つ百間洞山の家まで行って当たりを見まわして探したがトイレがない。小屋の前の道標に聖岳とあった。分岐まで戻りザックの中の地図で確認すると大沢岳を登らずに小屋から中盛丸山へ行けるとわかったので大沢岳はパスして再び山の家へ行ってトイレを探したが判らない。そこで冬季避難小屋に注意書きでもないかと覗いてみたところ、「離れた場所で穴を掘って埋めてください」と。避難小屋というものが判ったような気がした。念のためのトイレだったので中盛丸山に向けて出発した。
百間洞の山の家からはダケカンバの林の中を登っていく。見事な黄葉で癒されはするがさすがにきつい。

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棚田のような百間洞のテン場

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百間洞山の家

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中盛丸山に向けての紅葉

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大沢岳斜面の見事なダケカンバ

8時40分に中盛丸山に到着、赤石岳と聖岳という大きな山塊を隔てる赤石沢の向こうに富士山が見えるという絶景だ。この山頂で行動食休憩として菓子パンを食べるが飲み込みにくい。そこでコーヒーを沸かしてコーヒーを飲みながらゆっくりと飲み込んだ。40分間の休憩となってしまった。

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中盛丸山山頂での絶景、大きな赤石岳と聖岳を隔てる赤石沢の向こうに富士山

 

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10時15分に小兎岳山頂に到着。ここで聖平からきた登山者と会った。彼も御嶽山の噴火のことは知らずに稜線に出て硫黄臭いのは自分の体臭かなと思ったと話していた。登山者が去った後写真を撮っていて昨日から時々していたピント調整時の異音が止まらないようになっていた。

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兎岳では初めて南アルプス南部の光岳方面を確認することができた。写真を撮った後に液晶モニタで見ると3枚に1枚くらいの割合でピントが合っていないのが判った。撮り直しも考えたがカメラの状態悪化は進行しているようで何とか聖岳まで持ってくれればと撮り直しはしないことにした。

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兎岳を下って聖兎のコル付近の木陰で食事休憩とした。湯を沸かしてカップうどんを食べようとするがここでも飲み込めない。汁は全部飲んだが半分ほど残った麺はビニル袋に入れゴミ袋の中にしまって出発した。昨夜トレラン女性と話した低血糖やミネラル不足の状態を心配しないといけないことになるとは思ってもいなかったが、その話を教訓に塩飴を切らさないようにして休憩を入れながら標高差400mを登った。
14時15分に聖岳に到着、北側には赤石岳から今日歩いた縦走路が見渡せ、南側には明日歩く予定の上河内岳が確認できた。暫らくの間山頂からの景色を眺めながら考えた。もう歩けないというほどの疲労感はないのだが、食べ物が飲み込めない状態での明日の縦走は無理だろう。カメラのピント調整がダメになっているとはっきりしたことで諦めがついた。上河内岳行を止める決心がついて聖岳を出発した。

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15時25分に小聖岳に到着、ここで先行していた登山者に追いついた。百間洞に宿泊した彼のザックはテント泊装備で30㎏、この重量での3000mの稜線歩きは小生にはまねはできない。彼は昨日赤石岳を登る小生を憶えているという。南アルプスで涸沢ヒュッテのTシャツを着ていたからだと。効果を期待していたわけではないが、単独行では他の登山者に憶えてもらう服装もありかと思った。

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小聖岳から見る聖岳

16時30分に聖平小屋に到着し、綺麗な冬季小屋に入った。そして小屋から離れているトイレに急ぎ無事に使用できた。この日の冬季小屋使用は便ヶ島に下る登山者と百間洞から来た登山者の3人でテント装備の彼は疲れているんだろうがテントを張った。
夕食がまた飲み込めない。外のテーブルで暗くなっても時間を掛けてゆっくりと食べたが、結局は半分のアルファ米を残してしまった。食事を飲み込めないことでカロリー不足での体力回復の遅れを心配したが、小屋の中に入って横になると明日は下るだけだと深く考えないようにして眠りについた。

 

9月27日 千枚小屋→赤石避難小屋 ← → 9月29日 聖平小屋→椹島、帰途

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