(北岳山荘泊)
3時40分、同宿者が支度している音で目覚めた。同宿者は月と金星が出ていると窓を開けて写真を撮って間ノ岳に向けて出発していった。確かに茜色に染まり始めた八本歯の頭の上の月と明けの明星が綺麗だ。空が白んでくると富士山も浮かんできた。北岳山荘の部屋からこんな光景を見ることが出来るとは思わなかった。
朝食は部屋の隣にある冬季小屋用の室内でうどんを作り、弁当で貰ったお結びが誂えたようでおいしかった。
茜色に明るくなり始めた空に月と金星 |
富士山 |
部屋の窓から見る日の出と富士山 |
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山荘横で見る八本歯の頭から昇る日の出 |
5時30分に山荘を出発して中白根山に向かう。中白根山からは間ノ岳の横に塩見岳も覗いている。仙丈ヶ岳はあいにく雲が掛かっているのが残念だが、日帰り登山では見ることのできない素晴らしいパノラマに大満足だ。
(中白根山山頂からの360°のパノラマ写真はこちら)
中白根山への登山道にて振り返り見た北岳 |
中白根山山頂から間ノ岳方面の眺め、右奥に塩見岳 |
中白根山からの下山で山頂にヘルメットを忘れてきたことに気付き、ザックをデポして引き返した。去年の涸沢以来忘れ物には注意していたつもりなのにまたやってしまった。被り慣れていないヘルメットを回収して気を入れなおして北岳に向かった。北岳山荘を過ぎて北岳への登りになって雲が出始め、八本歯のコル分岐に着いたときには空全体が雲で覆われるようになっていた。分岐からトラバース分岐まで下って花を見てみたが、キタダケソウは咲いているもののやはりトラバース道の方が密度も高く、登山道から近接撮影もできるのでお勧めだ。
登山道から振り返る間ノ岳方面 |
登山道から見る北岳 |
登山道から見えた不安定そうな岩 |
八本歯のコルへの道から見た八本歯の頭 |
9時過ぎに北岳山頂に着いたときにはあたり一面ガスで真っ白だ。山頂で携帯が通じるため家にメール連絡を入れて、肩の小屋に向かって下山した。
10時に肩の小屋に着いた。小屋番さんに当方の行程を聞かれたの、左俣の登りと雪渓上の落石の話をしたところ、登山者への注意喚起のためにも広河原のインフォメーションセンターに伝えておいて欲しいと言われ、これから小太郎山に行きたいというと広河原方面からガスが上がってきている小太郎尾根について親切に説明してくれた。
山頂直下の雪切りされた雪渓 |
北岳山頂、ガスで視界なし |
北岳肩の小屋 |
大樺沢からガスが湧き上がる小太郎尾根 |
10時30分に小太郎分岐に着いてザックを降ろした。時間もあることだしガスで見晴らしが無くても行ってみようと弁当のお結びを食べた。そこへ今日から開通したバスを利用してきた男女の登山者が登ってきた。下ってきた当方がここに居るのが不思議なようで行程を聞かれたので、戸台から入り北沢峠から広河原まで歩いたと話した。首都圏の人には戸台側はメジャーではないようだが、北沢峠から広河原は上高地から横尾まで歩くより距離も短く下りでずっと楽だったと話した。話をしているうちに小雨が降り始めたので小太郎山はやめて下山することに決めた。レインウェアを着てカメラをザックに仕舞って下山を始めた。
草滑りではショウジョウバカマやキバナノコマノツメなどが咲いていた。ここで多くの登山者とすれ違った。皆さんバスの開通を待ちわびていたのであろう。
雨がひどくなり始めた時に運よく白根御池小屋に着いた。雨宿りのつもりでソフトクリームを頼んだが、慣れていないせいか崩れたソフトクリームに女性スタッフは恐縮したようだった。「これを売りにしたら」とおじさんは口が悪いが、「次は綺麗に作るのでまた来てください」と女性スタッフは優しい。ここで越冬したビールを割安で販売していたので飲んだ。こうなるとを腰を落ち着けて昼食に中華どんぶりを頼んだ。小一時間御池小屋で過ごすと丁度雨も小降りになり出発した。
薄日の差す広河原に15時に着いた。山荘前の広場には学校登山の生徒約100人が整列していた。広河原山荘に立ち寄ったが、コインシャワーの準備はまだできていないとのこと、団体さんの受け入れ準備で忙しかったのであろう。
着替えてカメラを持ってインフォメーションセンターに向かった。吊橋を渡って振り返ると北岳はガスがかかっているが、左俣の雪渓に例の大きな岩が見えた。
広河原から見る左俣の雪渓 |
望遠、大きな岩と滑ったトレースが見える。 |
インフォメーションセンターで係りの人に左俣の雪渓上に残る岩について話をした。係りの人は既に認識しており、23日か24日だったか見てきたと、その岩はここからトレースまで見えていると。そう、当方がアイゼンを付けている際に下って来て登山道の情報を教えてくれた人だった。ここの係りの人は広河原山荘に宿泊しており、当方が食事を準備している水場に来て、明日コインシャワーを調整してみるので確約はできないが明日も確認してほしいと告げてくれた。しっかりした対応をしてくれると思った。
夕食後19時過ぎにテントの中で横になり寝込んでしまった。