道の駅しらねを6時前に出発、6時半過ぎに夜叉神峠登山口に到着。下山後の宿泊を申し込みたい夜叉神ヒュッテはまだ開いていない。出発の準備をしながら夜叉神ヒュッテの様子を窺うも人の気配はないので、予約は夜叉神峠から電話を入れることにして7時半に登山口を出発した。
8時半前に夜叉人峠小屋に到着。雪の着いた白峰三山の景色がすばらしい。ここで夜叉神ヒュッテに電話をして宿泊予約は完了。紅葉が始まった落葉樹の森の中をダブルストックで軽快に出発、少し登ると森はシラビソやカラマツへと変わっていく。木々の間から白根三山が見えるが、展望のよい場所に出くわさない。
10時過ぎに火事場跡に到着。ここではカラマツ林の切れ間から白峰三山がよく見えたが、この先の登山道はまた深い森の中で展望はなかった。
苺平を過ぎて下り始めて地図にあった景色のよい辻山へは苺平から入ることを思い出した。少し後戻りし苺平から辻山を目指した。途中で一箇所倒木が登山道を塞いでいた。倒れて間もない様子で台風の影響であろう。
11時過ぎに辻山に到着。南の悪沢岳から白峰三山、仙丈ケ岳、薬師岳そして遠く八ヶ岳まで見える大パノラマ。3000mを越す山には雪が着いている。農鳥岳から広河内岳の稜線上に雪の着いた山が見えた。望遠撮影で確認すると間違いなく去年登った塩見岳だった。去年の塩見岳では雨と雪で景観は得られなかったが、今回遠征は最高の天気に感謝。この辻山で30分近くすごして腰を上げ、近道を通って南御室小屋への登山道に戻った。登山道に合流したところに辻山のパノラマを紹介する看板があった。看板にある『甲斐ある寄り道』には違いないが、木々の茂りのためか富士山には気付かなかった。
12時過ぎに南御室小屋に到着、冷え込んでいるようで日陰の木のベンチには霜が残っていた。昼食を買い込んできたパンで済ませ、薬師岳小屋のアドバイスに従って給水して出発。
砂払岳に向けて急登をこなして森林限界を越すと白峰三山から富士山までのパノラマが広がった。ここまで登ってきた疲れを忘れさせる雄大な景色だった。
砂払岳から少し下って薬師岳小屋に到着。宿泊の手続きを済ませるも夕食までたっぷりの時間があるのでカメラだけを持って薬師岳に登った。
14時過ぎ、小屋を出発してすぐの薬師岳山頂に着いた。白砂と這松と大きな岩の組み合わせの日本庭園のような風景越しに白峰三山が見える。この素晴らしい景色を演出する心地よい天気、時間もあるので明日予定の観音岳まで行くことにした。
15時前に観音岳に到着。地蔵岳や甲斐駒ケ岳も見えて360度の大パノラマだが、この時間になると白峰三山は逆光に山の表情を窺えない。明日に期待して薬師岳小屋に下った。
小屋に戻って日の入り17時、日の出6時の時間を再確認、夕食の17時半まで薬師岳への登山道脇で日暮れの様子を見守った。主役は雲海に浮かぶ孤島の富士山、遠くからだけれど赤く変わる色の変化がわかる。フィナーレは夕空に際立つ白峰三山のシルエットで日暮れの絶景は終わった。
この日の宿泊者は10名で夜叉人峠から登ってきた人の多くは白鳳峠から広河原に下る予定だったが、小屋番さんの指導で夜叉神峠に戻るようだった。
夕食後の話の中で百名山を達成した人がいた。この人は百名山達成後に富士山にお礼参りに登ったという。この話で以前に疑問に思っていたことが解けた。それは初めて奥穂高岳に登ったときに、奥穂高岳山頂で百名山達成の横断幕を掲げて祝うグループがいた。奥穂高岳が百番目になるはずはないと思っていたが、それが達成後のお礼参りだったとすれば頷ける。自分だってお礼参りには奥穂高岳を選ぶと思う。
翌朝は観音岳でのご来光のため朝4時半起床を隣に寝る人に告げて横になった。