昨晩のガスは消え晴れの天気、ただ北岳山頂にはガスが掛かっている。日の出と富士山、朝日のあたる甲斐駒ヶ岳や仙丈ケ岳と小屋の前で素晴らしい景色を拝むことができた。
6時半前に肩の小屋を出発。山頂付近のガスは取れてなく、先行する登山者もガスで霞み、この先の天気に不安を感じた。
7時過ぎに北岳山頂に到着。ガスで眺望はないが、時折広河原や池山吊尾根、危険帯となっている八本歯の岩稜帯も見えた。山頂から見えているということは逆に吊尾根からだと山頂やバットレスが見えているはずだと期待が膨らみ、これ以上ガスが酷くならないうちにと八本歯のコルへ急いで下ることにした。
北岳山頂を少し下るとガスが薄くなり、山頂にガスのかかる間ノ岳も見えた。やはりガスは山頂部だけだ。更に下った地点ではブロッケンが現れ、ガスとともに消えていった。
吊尾根分岐を過ぎ、トラバース分岐に至る間で2014年の山行では所々でキタダケソウが咲いていたのを思い出した。秋のキタダケソウがどんな状態になっているのかと気を付けながら下ったが、それらしきキタダケソウを見つけることは出来なかった。
トラバース分岐を過ぎ振り返ると北岳にガスはかかっていない。北岳山頂部からバットレスの側面、大樺沢、広河原まで想定を超える素晴らしい景色はまさに北岳の横顔を見ているようだった。
8時半過ぎに八本歯のコルに到着。ここでストックをザックに括り付け、ヘルメットを被り八本歯に取り付く。木製のはしごを過ぎた岩壁、手がかり足がかりがしっかりしており、三点支持で慎重に登る。トラロープが垂れている岩壁や岩を取り巻くトラロープ、これらは登るルートや巻き道をガイドしてくれており、迷うことなく登ることが出来た。
9時前に八本歯の頭に立てた。天気にも恵まれて素晴らしいの一言。写真を撮り終えハイマツ帯を下るが、このハイマツ帯が難所となる迷路。道と思しき所を下っているとハイマツの枝が茂って通行止め状態。入り口を間違えたためか、振り返ってみても途中に分岐や別の道も見当たらない。近くの道らしき露岩帯を目掛けゴメンナサイしてハイマツ帯を強行突破。その露岩帯も少し歩くとハイマツで通行止め。更に強行突破して平坦な場所に繋がる露岩帯で出ることができた。天気のいい日にこんな状態に濃いガスのかかる時には間違った方向に進んでしまう怖さがあり、そういう時のためにも地図アプリも必要だ。
八本歯の頭を下ると正面に富士山を見ながら緩やかに下り、10時前にボーコン沢の頭に着いた。2019年に計画したときはここから歩き沢橋に下り、野呂川吊橋を渡って夜叉神峠をゴールとするもので林道区間ではバスが利用できるように計画していた。
10時過ぎにボーコン沢の頭を出発し折り返す。途中バットレスの眺めがいい場所で肩の小屋でもらったお弁当で昼食。バットレスのこの壁をどのルートで登るのか、実際に登っている人がいたら、夢中で見入ってしまうだろうなどと想像しながら至福のひと時を過ごした。
1時間ほどの休憩で出発、この時には北岳山頂にガスが掛かり始めていた。
八本歯の頭からの危険帯は登りを経験したばかりで慎重に下降。12時半に八本歯のコルに降りたち、次はトラバース道から北岳山荘を目指した。
13時前にトラバース道に入ってキタダケソウを探した。この時期キタダケソウはどんな状態で冬を迎えようとしているのか、実や種子はどうかなど、花が咲いていたころの葉の形状をもとに足元を中心に探した。保護ロープの内側にも枯れた植物が見えるが遠目では分からない。それらしき植物は見当たらないが、それでもチョウノスケソウだけは確認できた。
トラバース道を過ぎたところに植生保護柵がある。2014年に来た時は柵内にキタダケソウが咲いていたのでその痕跡はないかと探したが、ハクサンイチゲしか見つからなかった。
13時半過ぎにガスのかかる北岳山荘に到着、ゆっくり休むことにした。ここで電波が通じるので家に写メを送ろうとデータ用スマホを操作するも写真が送れない。そうこうしているうちにスマホのバッテリーが20%を切ったので地図アプリはここでオフにした。
17時すぎに窓が開いたように富士山が見え、ガスが消え始めた。小屋の外にはほかの宿泊者も出て富士山の夕暮れを見守っていた。夕日に薄いオレンジ色となった富士山に明日の天気も期待できそうだった。
夕食後この日もマイシュラフに潜り込んで直ぐに寝込んだ。
























































