早出の登山者の支度の音で目覚めた。天気は霧雨のようで腕時計の気圧計は徐々に気圧が下がっていた。朝食後においても天気が回復していく兆しが見えないが、山頂での天候の回復を期待して空荷で間ノ岳に向けて出発した。
中白根の付近で足元でグァグァと大きな鳴き声、見るとメスのライチョウ。すると遠くから同じ鳴き声、オスのライチョウのようでつがいで呼び合っていたのだろう。南アルプスで個体数が減少しているといわれているライチョウに出会うとは思わなかった。
その後ご来光を目指した下山してくる登山者とすれ違う際には西側のガスが薄くなり、遠く槍穂連峰までも眺めることが出来た。
7時半過ぎに間ノ岳山頂に到着。長野県側はガスが切れていて、塩見岳から仙丈ケ岳まで何とか視認できた。塩見岳登山を計画した際にこの仙塩尾根も候補として下調べしたことを思い出すも、この距離感を目の当たりにするとただ苦笑い。
8時に予定通り八本歯のコルから左俣経由で広河原へと間ノ岳から下山開始。中白根山ではガスが開け、正面の北岳は山頂部にガスが掛かっている程度だった。
9時過ぎに北岳山荘に到着、ヘリの荷揚げがあるとのことで邪魔にならないように山荘から離れたところで地図を出して歩行時間をチェックした。広河原発14時のバスに間に合えば白峰会館の温泉の葉入れることを思い出し、下山目標広河原14時前とした。地図で検討しているさなか、ヘリの音が近づいて現れた。山荘の上にはガスが掛かっているように見えるが、ヘリによるガスの乱れがないのでガスは中白根側にだけ掛かっているのだろう。ヘリはガスの隙間を狙って荷揚げしているようだ。
ヘリの荷揚げを2回見て出発。ガスの晴れる気配はなく、トラバース道ではキタダケソウにはもう気にも留めずに先を急いだ。
10時半過ぎに八本歯のコルに到着。ここからガスのかかるバットレスを見上げながら左俣を下るが、なんと丸太梯子の多いこと。数多くの梯子を下った先で枝にピンクリボンが下がった場所に出くわした。2014年にここを登った時に雪渓から夏道に上がった場所がここだと思った。今日下って来た道、当時は梯子一つを登るごとにひと休みし苦しんだことが思い出された。
左俣を下る中で北岳に掛かるガスは取れていたようで、青空を背に下から見上げるバットレスも素晴らしかった。
二俣の手前で流れの少ない小さな沢を渡って右俣の道に入り、昼食休憩。弁当を食べながら地図を広げてあ然。バットレスを見上げる景色に見とれたせいか広河原14時着に間に合いそうにない。弁当もそこそこに半分残して出発、この先は休憩も取らずに一気に広河原まで下った。
14時10分前に広河原到着、乗合タクシーに乗車でき、バスよりも早く芦安に着いた。時間に余裕ができたので白峰会館で食事をいただいてから温泉でゆっくりと体を休めることができた。
この日は宿に泊まることなく車を走らせ、途中のSAで熟睡し、10月10日の正午過ぎに無事帰り着いた。
登山を終えて
天気にも恵まれ念願の北岳バットレスの険しさ、力強さを吊尾根から間近に見ることが出来て満点の山行だった。北岳は富士山に次ぐ高さを誇り、独特のバットレス、キタダケソウと剛柔併せ持った日本を代表する山に間違いないと思う。
次の遠征登山は未踏の3000m峰最後の御嶽山に挑戦してみたい。






























