7月23日 雨
予報通りの雨、しかも部屋の窓から小屋前の吹き流しが横になるほどの風も吹いているのが判る。稜線は荒れていることが予想できるので早月小屋で完全休養することとし、同宿の後期高齢リーダーが薦めてくれたヒマラヤの惨劇『空へ』を読んだ。最後まで読み切ることは出来なかったので、続きは北九州に帰ってからのお楽しみになった。
昼食の弁当を談話室でいただいた。朝に食べたお弁当はふりかけやとろろ昆布で覆た大きなお結び二つだったが、もう一つは巻きといなりの助六寿司だった。前夜に『2種類違う弁当を用意しました。』と渡してくれたお弁当で、この巻きずしといなりずし、とても美味しく登山中の疲れた体でも食べやすいだろうし、必要な量だけ小分けして食べることもできる優れものだ。
昼食後も本を読んでいて、簡易ハーネスを装着できないことを思い出した。家での出発前の装備確認時に試してみて装着できず、後で本を見て確認しようとしていたが、出発前の諸々で確認していなかったのだ。今まで一度の実戦経験もなくザックの肥しになっていたスリングを取りだして試してみた。何故だか一度でうまく着けられた。
この時窓の外に二人の登山者が見えたので玄関の外に出て話を聞いてみた。剱岳から下ってきた若者二人、深夜に馬場島に着いて雨のため車内で仮眠していたが、ほぼ止んだので出発するも、その後はずっと雨で濡れた岩はよく滑ったと話してくれ、ほどなく馬場島に向けて下っていった。
この日は森林組合の4名の方が雨の中登山道の草刈をしながら登ってきた。役所から依頼された仕事で明日も更に登って樹林帯までの登山道の草刈をするとのことだった。登山者が快適に、安全に登山できるのも山小屋やこうした人々のおかげであることを忘れてはいけない。
明日の天気予報は朝のうちは雨だが9時ごろから曇りで夕方には天気は回復する予報に時間を遅らせてでも出発すると決め、雨がなければ早立ちがしたくて朝食なしでお弁当二つ、それも助六弁当でお願いした。