晴れのち曇り
6時前に起きると、空は曇り周りの山の上部はガスがかかっていたが、午後からの天気回復の予報に期待して行動開始。朝食用の缶コーヒーを買うため立山駅に行ってみると切符の販売が6時20分からとのことでそのまま販売所に並び7時の始発ケーブルカーの切符を買うことができた。急いで車に戻りパンを食べる間はなく支度を整えて立山駅へ、7時始発のケーブルカーに間に合った。
美女平では室堂行のバスが待機していてすぐに発車してくれた。弥陀ヶ原ではガスで視界不良、途中の称名滝も見えぬままだったが、室堂に近づくにつれてガスが取れはじめ室堂に着いた8時過ぎには曇っているがガスはなく立山三山などの山並みがくっきりと見えた。しかも予定よりも30分も早く、気分も高まり、登山届けを提出してターミナル建屋を出た。
玉殿湧水で水を汲み、ここで朝食のパンを食べる。室堂は2回目だが、初めて見る立山連峰の稜線の景色に写真を撮りながら石畳の道を進んだ。雲も取れ始め剱岳も剣御前の稜線の際にはっきりと見え、秋の日に雷鳥沢の草紅葉の茜色が青空に映えて印象に残る景色だった。
地獄谷は噴煙の影響で通行止めになっているが、風の加減で時折臭う硫黄臭は火山地帯にいることを思い起こさせる。
9時15分に雷鳥沢キャンプ場に到着、この先の浄土橋から雷鳥坂の500mの登りに気合を入れて取り付いた。振り向いては室堂の眺めを写真に撮りながら登り、10時45分に別山乗越に到着した。予定より1時間早く着いたので剱御前まで行ってみることにした。剱岳はガスがかかり時折山頂が覗ける程度だったので、2,792mピークで引き返したが、別山から立山三山にかけては時折ガスがかかる絶景だった。
剱沢を下り剱沢小屋に12時半過ぎに到着した。小屋で剱沢雪渓の状況を尋ねると雪渓への取りつき地点、雪渓から夏道への復帰地点、それから高巻き道での注意点などをイラスト図を元に親切に説明してくれて、そして最後は自己判断と自己責任と念押しされた。
剱沢小屋でもう一人雪渓を確認した登山者がいた。今日は仙人池ヒュッテ泊まりという彼を見送り、剱沢小屋でカップ麺の昼食を頂いて出発した。
剱沢小屋からは剱沢沿いに下っていくが、山にはガスがかかっており、見えるのは深く落ち込んでいく谷筋だけだ。その深い谷に吸い込まれるような感覚で高度を下げていった。
13時に最初の滝(クロユリの滝)に、その10分後には雪渓上端に到着した。
ここで先ほどの登山者が雪渓取り付き地点が判らないのかこちらに登り返してくるのが見えたので雪渓取りつきはもっと先と叫んで下るが、少し下った地点で雪渓に下りれそうな場所がありそこでアイゼンを着け雪渓に降り立った。その登山者も少し先の場所でアイゼンを着け雪渓に下りてきた。もっと先と叫んだことを詫びて先行を促したが、この登山者小生の前には一度も出ずに後を付いて来るだけだった。
平蔵谷の出合から雪渓は少し急になるがアイゼンのお蔭で快調に歩けた。
14時前に長次郎谷の先のピンクの旗の位置で夏道に上がり、後を付いてきた登山者はここで先行して下っていった。
この先で高巻き道に入るロープがあったが、先行した登山者が雪渓脇に立っているのが見えたのでそのまま先行者を追って雪渓脇に下った。その雪渓脇には大きな空洞が対岸まで続いており、スノーブリッジとなっている雪渓の状態を初めて傍で見た。夏道に戻って下っていくその先の雪渓は中央部に穴が開き崩落が始っていた。そんな雪渓を横目にしながら下って、14時半過ぎには真砂沢ロッジに着くことができたが、そこに仙人池ヒュッテを目指すあの登山者がいた。仙人池ヒュッテまでCT4時間、小屋到着は遅くなるだろうが、剱沢キャンプ場付近で当方を抜いていった脚力の持ち主であり、少し話をして見送った。
真砂沢ロッジでテント泊二日を申し込んだ。水は豊富だが煮沸して飲むことと言われ、飲料用に2Lのペットボトルを購入し、ハシゴ谷乗越ルートを聞いてみた。当初エスケープルートとして黒部ダムに逃げること考えていたが、小屋番さんの意見は全く逆だった。両ルートとも歩行時間はほぼ同じということはハシゴ谷乗越ルートは歩行距離が長いこと、途中に山小屋が無く逃げ場が無いこと、二日後は曇り後雨の予報でハシゴ谷乗越ルートの沢沿いの道は渡渉箇所が多くひどい雨だと腰まで浸かることがあるという。帰りは今日下った剱沢を登り返したほうがよいと丁寧に説明してくれた。山小屋の情報は貴重で有り難いと思った。
この日のテント泊は同じく池の平山ピストン計画のソロ男性との2張りだった。この夕方からの冷え込みは厳しく夕食時はビールではなく熱燗で疲れを癒した。