2016/10/13　雲切新道（阿曽原温泉小屋から仙人温泉小屋泊）

曇りのち晴れ

阿曽原温泉小屋で朝食をいただいて6時半に出発した。
権現峠を越え仙人ダム堰堤は渡らずにダム湖の傍を行き、アルミ梯子を登った先で仙人谷を木橋で渡る。大岩の下をトラバースして急登に入る。所々梯子があり、急な場所には必ずロープが設置してある。ニ、三ヵ所のロープは固定していた木の根が浮いて使えないが、お助けロープとして腕力でロープを手繰り寄せて登っていくことが出来た。
途中、滝の見える場所で休憩中の3人パーティに追いついた。池ノ平でテン泊して北方稜線に入るそうだが、立派な三脚も積んでいて30kgはありそうな大きなザックを背負っている。この急坂に対応できる体力が、そして何よりも北方稜線に行けることが羨ましい。

仙人ダム堰堤は渡らずそのまま左岸（右）へ	ダム湖の傍のアルミ梯子で山の中へ
仙人谷にかかる丸木橋	登山道から見える滝

更に登ったところで小屋を閉めた仙人池ヒュッテの小屋番さんたちが下ってきた。熊遭遇は大げさな話だったが、この山域は熊の生息域でありその注意喚起と言うことなのだろう。
途中振り返ると木々の間から雪を被った稜線が見えたが山名はわからなかった。昨夕の雨が稜線では雪になっていた。
1628mピークに9時半過ぎに到着し小休止、このころから時折日ざしが覗くようになっていた。下り始めると谷の向うに仙人温泉小屋が見えた。小屋を捉え今日の目的の仙人池もいよいよと思い下り始めたところで右足の膝に違和感を感じ、普通のペースで下れなくなった。右膝の違和感は疲労によるものと思いたいが、原因はわからない。時間をかけて10時半過ぎに仙人温泉小屋に着いた。

振り返り見る後立山連峰	後立山連峰の稜線に雪
山名は特定できず（小屋で唐松岳と知る）	1628mピーク
小屋のぞきから、中央下に仙人温泉小屋
仙人温泉の源泉部の噴煙	仙人温泉小屋

ここで3人パーティと小屋番さんが話していた。この人は仙人池ヒュッテから下ってきた最後の小屋番さんで、これから上は無人地帯だと話してくれた。3人パーティーは小屋の前で休憩後その無人地帯へと登っていった。
この先仙人池まで普通であれば4時間ほどで往復できるので15時には仙人温泉小屋に戻ってこれる。しかし、膝の違和感の原因がわからないし、この不安を抱えて無人地帯へ踏み入ることはいささか無謀である。また明日の黒部ダムまでの長丁場のことも考えて無理をしないことに決めた。
でも余った時間にやることが無い。無理を言って宿泊をお願いしただけに小屋閉めのお手伝いをと言ったが、今日の予定はほぼ終わったという。ならばと小屋番さんが仙人の岩屋を教えてくれた。ヒカリゴケが自生しているそうで早速行ってみた。初めて見るヒカリゴケ、見る位置によって全く光らない。反射板を持っているみたいだ。

仙人の岩屋の入口にある案内板	岩屋内部の石仏
緑の蛍光を放つヒカリゴケ	位置が変わると光らない

小屋に戻って温泉に入った。湯船の正面が後立山連峰の絶景というなんとも贅沢な露天風呂だ。その後立山連峰には雲が掛かっていたが、時折雲の間から天狗の頭や不帰の剣が見えた。湯船の中で右ひざをさすりながらテントを背負って不帰の剣を必死で登った縦走を思い出した。「あん時はきつかったなぁ」
そこへ小屋番さんの一人も露天風呂に入ってきて小屋の話などをしてくれた。無報酬で小屋を手伝っているそうで、下界を離れての長期間の生活は山好きにはこの景色や温泉はたまらないがそれ以外に小屋の親父さんにもひきつけられての事だと思った。
結局風呂には1時間半も浸かっていたが、それが効いたのか膝のことは全く気にならなくなった。